情報化社会でのIoTやAI含めたICTの進化とともに、医療業界でもICTの活用が進んでいる。厚生労働省も医療健康分野の今後の方向性として、医療情報の標準化や共通ICTインフラを整備し、医療の質と効率性の向上を図ることで、世界に誇る保健医療水準を維持し、同時に民間の投資を喚起して健康で安心して暮らせる社会の実現を目指す。遠隔医療も本格的に診療報酬として認められる中、今後、診療の代替ツールとしてではなく、病気の治療にも効果のあるサービスが出てくる可能性がある。さらに、ICTのみならず再生医療や遺伝子によるオーダーメイド医療など、新しい医療の可能性に挑戦する医療者もおり、不治の病が新しい概念によって解決される世界が近づいている。
医療制度、国際医療
世界の主な死因の上位を心臓病、ガン、脳卒中といった生活習慣病が占めている。しかしいまだに開発途上国では、感染症での死亡者が絶えない。毎年、下痢症330万人、エイズ320万、肺炎310万人、マラリア200万人、結核100万人、はしか75万人の人々が死亡している。また、妊娠に関連して50万人が死亡している。予防可能、もしくは治療法が分かっている疾患による死亡者は、世界全体の死亡者の半数以上を占めており、これらの95%が開発途上国で起こっているといわれている。社会的インフラである医療福祉制度は各国によって違いはあるが、人々の健康を守るべく、各国の課題に挑戦したり、国内外を含め医療制度に取り組んだりしている医療者や行政、研究者は多い。国内でも、医療費の課題を含め医療制度に対しての関心は高い。