未病予防

生活習慣病にかかる人が増える中、医療費高騰の観点からも、国民の健康増進の重要性が高まり、健康づくりや病気の予防を積極的に推進するための環境整備が必要とされている。2000年に厚生労働省により、国民健康づくり運動として「健康日本21(2000年~2012年)」が開始された。これを受けて政府は、さらに積極的に推進するため、2002年、医療制度改革の一環として「健康増進法」を制定し、特定健診・保健指導をスタートさせた。さまざまな健康サービスも出現し、一人一人健康づくりのための自己管理(セ ルフメデ ィケー シ ョン)システムとして現代社会 に浸透し始めている。また、社会生活・疾病構造・医療経済が大きく変転しつつある。これからの時代において、疾病予防や健康長寿の有益なあり方を模索・構築する上で重要な考え方である。

地域医療格差

国民皆保険では全ての国民が、公平な負担の下で、どこでも同じ医療を受けられることが理念となっているが、医療には多くの格差問題がある。格差問題は大きくは2つに分けられる。1つは、医療の地域格差である。医師が多い都市部、少ない地方といった偏在の問題があり、地域間における医療サービスの格差が生まれている。厚生労働省の検討会で、医師の偏在解消のために強制的医師配置などの意見が出ているが、根本的解決につながるか疑問である。2つ目は、医療の経済環境格差である。今後ますます医療サービスの高付加価値化・多様化が進み、所得によって受けられる医療サービスに格差がでる。さらに、経済状況やソーシャルキャピタル格差が要因となり、生活レベルを含めた健康状態の違いを生んでいる。医療者以外に複合的な解決策が必要になる。